フラメンコ関係者であれば一度は「新人公演」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
今回は、そんな「新人公演」にチャレンジしてみたい!観てみたい!
新人公演って何?
という方々に向けて、自分の経験から書いてみたいと思います。
長くなると途中で挫折してしまいますので、振り返りながら少しずつ分けて書いてみたいと思います。
フラメンコの新人公演はプロフェッショナルへの登竜門
私もフラメンコを始めた当初は、「新人公演」というからには、フラメンコの新人さんがお金を出し合って、その成果を発表する、いわゆる発表会の全国版?みたいなものだと勘違いしておりました(-_-;)
新人公演を主宰している日本フラメンコ協会のホームページによりますと、次のとおり説明がされております。
出演者一人一人を“主役”と考える
それがANIFの新人公演です
新人フラメンコ・アーティストの発掘、育成の場として1991年から毎年夏に催されているANIF主催公演。 約20回を重ねるうちに、当公演から巣立った専門家は200人以上にのぼります。
ことに数年前から、プロフェッショナルへの登龍門として社会的認知を得、コンクール化が論議される中、協会は一貫して
「新人公演は優劣順位をつけるためのものではなく、新人へのエールを送るために存在する」という姿勢をくずさずにいます。
だからこそ、すべての出演者が主役であり、1人も敗者もありません。
バイレ・ソロ、ギター、カンテ、群舞の各部門に分かれ、若干名の出場者に奨励賞、またはその他の賞が与えられます。出典:日本フラメンコ協会
「新人」さんの「公演」では決してなく、フラメンコ界ではプロへの登竜門であり、
私のお師匠さんも含め、
素晴らしい先生方のほとんどは、新人公演で「奨励賞」を受賞されていらっしゃる方々です。
一度観ていただければわかりますが、例えばバイレ(踊り)であれば7分という決められた枠の中で1曲を構成し、
広い中野ゼロホールというテアトロで踊るわけで、
みなさんもやはり「奨励賞」を目指して準備されているものと思われます。
生徒さんのご出演もありますが、
すでに現役でお教室を主宰していらっしゃる先生のエントリーもあり、
公演時間が長いのでお尻が痛くなっちゃいますが、とても見ごたえがあります。
みなさんがこの短い出演時間に向けて、
色々なものを本当に準備してきたんだな~と、出演した経験がある私は実感してわかるので、
なんだかしみじみ~と思っていつも拝見しております。
この舞台に向かうエネルギーと準備に敬意を表します。
スケジュール
前年度夏頃私の場合の概ねのスケジュールを参考に書いてみます。
例年8月が本番なので、遅くとも1年前には出演をお師匠さんと相談して決めて、振り付けの準備に入った方がよいと思います!
時期 | 内容 |
前年度8月頃 | 新人公演出演をお師匠さんと相談し、ヌメロなどを決める |
前年度中 | 振り付けをほぼ完成させておく |
前年度2月末まで | フラメンコ協会 正会員に入会をしておく。 |
4月中旬 | 応募要項を入手する。(フラメンコ協会会員なので、郵送で届きます) |
4月下旬~5月上旬 | 応募 |
5月中旬 | 出演できるかどうか決定 |
7月頃? | 照明のための踊りチェック |
8月中旬 | 本番 |
出演までの準備
新人公演に出演したい!と思ったら、どういった準備が必要でしょうか?
私の場合を振り返ると、概ねこのような準備が必要だったかと思います。
- 参加資格
- 出演の相談
- ヌメロ
- バックアーティスト
- 衣装・小物・化粧
- お金
- 当日のこと
順番に確認してみたいと思います!
参加資格
出演したい年度の前年度2月末までに、フラメンコ協会正会員になっている必要があります。
また、フラメンコ協会の、会長、副会長、理事長、理事、事務局長いずれか1名の推薦が必要ですので、
お知り合いがいらっしゃらない場合は、お師匠さんに相談するとよいと思います。
出演したい年度の前年度2月末までに協会員になったとしても、
応募多数の場合は会員の年数が長い方が優先になりますので、
エントリーした場合も、定員超過で出演できない場合があります。
フラメンコの興隆のためという趣旨でも、会員を継続するのが良いかもしれないですね!
出演の相談
出演にはお教室のお師匠さんへの相談がまず第一だと思います。
新人公演の演目はタブラオで踊るのとワケが違うので、やはり第一線の先生に指導をいただきながら取り組むのが良いかと思います。
当日も先生に付き添っていただくととても心強かったりしますので、そういう意味でも早めの相談をお勧めします!
ヌメロについて
踊りでの出演の場合、自分の演目を決めなくてはなりません。
私はその当時大好きだったバンベーラを演目にしましたが、
多分、曲のドラマティックさ・構成の成熟度に頼れるという意味もあるのか、
ソレア・シギリージャ・アレグリアス・タラントといった演目が多い気がします!
また、振り付けをどうするかという問題もあります。
私は自分で振り付けたものをお師匠さんに手直ししていただきましたが、
中には、スペイン人アーティストさんに振り付けを新人公演用に創ってもらうという方もいらっしゃいました!
また、7分という短い尺の中におさめますので、
いつもは歌振りが2つ、エスコビージャ2つ…など盛りだくさんのフラメンコですが、
どこを残してどこを削るのか、精査しなくてはなりません!
また、練習で7分ぴったりで作っていると、万が一、本番でたっぷり踊りすぎて15秒オーバーで失格…( ノД`)
なんてこともありえますので、
6分30秒くらいを目安に構成した方がよいと思われます。
バックアーティスト
これまた、決めなくてはなりません!
私は全面的に、河内さおり先生にお世話になっていましたので、
もちろん、バックアーティストにはイベリアで招聘中のモイさん・パコさんにお願いしました!
このお二人との共演は本当に貴重な経験で、
モイさん・パコさんはタブラオライブでも何回もお世話になりましたが、
こと新人公演は、お二人の懐の広さ・暖かさがあり、当日も安心して踊れました。
本当にお二人とも素敵なアーティストです!
お金のことはまたのちほど触れますが、お二人の当日出演料が10万円だったと思います。
もちろん、エンサージョ代(リハーサル代)は別ですので、
別日で何度も合わせる必要があるので、その都度お金がかかります…(;’∀’)
また、パルマの方をバックにいれるかどうかも重要です。
私は、歌い手のモイさんがパルマもしてくださったのでお二人だけにお願いしましたが、
パルマの方をバックに入れている人が多いように思います。
やはり1名のパルマだとコントラティエンポなどできませんし。
でもこれもやはり、1名お願いするとなるとそれなりに謝礼がかかります!
あとは、お教室のお師匠さんが叩いてくださっている例もよく見ます。
衣装・小物・化粧
これは本当に早めにお師匠さんに要相談です!
テアトロの演目はタブラオとは違うので、大きな舞台・照明効果がある中で、
魅せる小物・衣装・化粧も相まっての自分の作品となります。
自分が好きなものが、自分のヌメロや踊りのイメージに合っているとは限らないし、
そのヌメロや自分の踊りの世界観を表すための衣装・装飾なので、
お師匠さんとよく相談しましょう!
お金
これはまた別の投稿でゆっくり触れたいと思いますが、お金はかかります!
私の場合、合計で70万くらいでした。
安い方だと思います。
みなさんもっとかかっているかと。
本番は7分ですので、1分10万ですね!!!
当日のこと
これはまた別の投稿でゆっくり触れたいと思いますが、当日の時間の過ごし方、準備の仕方なども、一度経験しておくと色々気が付くところがあります。
例えば、お化粧をした後は外に出てはいけません。
失格になる行為です。
なので、どのタイミングでお化粧をするかというのも大事になります。
出演順が遅いと長く控室で待ってることになったり、それも疲れてしまいます。
地下にリハーサル室がありますが、みんなで譲り合って使う形だったりもします。
そのあたりの体験談はまた後日、投稿したいと思います!