バイレ・フラメンコには構成があります
1つの舞台に、トケ(ギター)、カンテ(歌)、パルマ(手拍子)、バイレ(踊り)が一堂に会して、その場で創るフラメンコのスタイルを「クアドロフラメンコ」といいます。
クアドロとはスペイン語のcuadroで「絵・絵画」という意味で、額縁に入っている絵のように、1つのものをみんなで創り上げるという意味で、クアドロ・フラメンコと言います。
即興のフラメンコの醍醐味であり、みんなで創り上げる楽しさがありますが、それゆえに難しさもあります。
発表会の群舞と違って、ソロでクアドロで踊るときは、踊り手は踊り手であると同時に、サパテアード(足音)でパーカッションをしつつ、クアドロフラメンコの指揮者にもなります。
コンパス(リズム)の速さ、歌を呼ぶジャマーダllamadaなど、踊り手が指揮をとるワケです。
そこで欠かせないのが、バイレ・フラメンコに構成があるということを、知っているということになります。
構成というか、クアドロフラメンコのルールみたいなもので、
そのルールは、トケ、カンテ、パルマ、バイレはもちろんみんな知っているルールだから、何回もリハをしたり、この部分の長さは○○コンパスです!とか指定しなくても、できあがるわけです。
むしろ、本番のクアドロフラメンコでは別日のエンサージョ(リハーサル)がない場合も多く(私たちのサークルのライブも、事前リハは通常は当日のみです)、構成がわかっていないと一人で踊れません。
そして、あれやこれや事前に決めていないからこそ、活きたフラメンコが創れるワケだし、その時の会場の雰囲気や、ギターさん、カンテさんのそれぞれの良さを引き出しながら、フラメンコを創ることができるワケです。
みんなで尊重し合う。
仕事柄、他機関連携が非常に重要なのですが、それぞれの文化的背景があるので、その壁を越えてわかり合うのは実はとても難しくストレスを感じたりします。
そこで大切なのは、相手を理解しようとし、尊重する姿勢かと。
仕事でも同じなのですが、フラメンコでも同じです!
クアドロだと踊り手が立って動くからやっぱりなんとなく目立っちゃうけど、実はフラメンコの元はやはりカンテであって、カンテ・ギターなくしてはフラメンコは成り立ちません。
そして、最も大切と言ってもいいと私は思っているのがパルマです。
簡単そうに見えるかもしれないけど、実は一番難しいと思います!
先日、ギター合わせをさせていただいたのですが、その時も超絶に感じたのがパルマの難しさ。
叩いている人は気が付かなかったかもしれないけれど、
バホとセコの使い分け、パルマの音の大きさ、コンパスが走っていないか?など、一人ひとりが細心の注意を払う必要があると感じた次第です。
パルマを叩く人は、よく踊り手さんの動きを見て、歌とギターをよーく聴かないとです。
例えば、ギターがsuave(やさしく)で弾いているのに、バシバシと大きな音でセコで叩くのは主張しすぎだし、
バイレがおとなしめなマルカールなのにセコをずーっと叩くのもちょっとしつこい感じになっちゃいます!
それと、どうしてもみんなコンパスが走りがちです!
気持ちが昂ると速くなっちゃうのはわかるんだけど、そこはぐっと冷静に、ギターさんの足のリズムをよく見ているといいかと思います!
サークルで構成のお勉強。
というわけで、サークルのお友達が構成を教えてくれました!
今練習しているソレアポルブレリアの構成はこんなカンジです。
今やっている、ソレアポルブレリアの構成です!
構成 | 内容 |
1.カンテサリーダ | 歌い手さんの歌い出しの部分。これが終わったな~と思ったら、「ジャマーダllmada」で踊り手が合図を出して、1つめの歌を呼びます。 |
2.プリメラ・レトラ(1歌) | 1つめの歌振りのこと。「歌振り」とは、歌に合わせて踊り手が振りを踊ること。歌い手さんの歌に合わせて踊ります。ところどころでレマーテを踊り手が入れたり。 |
3.ファルセータ | ギターさんが弾く部分で、歌はありません。ギターさんによって持っているファルセータが違うので、その音に合わせた感じで踊ります。 |
4.セグンダ・レトラ(2歌) | 2つめの歌振りのこと。ファルセータが終わるころに合わせて「ジャマーダllamada」を踊り手が出し手、2つめの歌を呼びます。 |
5.エスコビージャ | 踊り手の部分。足のパーカッション(サパテアード)のパートです。 |
6.ブレリア | エスコビージャが終わると、「ジャマーダllmada」を踊り手が出して、ブレリアを呼びます。ブレリアは2つ踊ることもあります。 |
7.はけ | 最後に、「はけ歌」を歌ってもらって、舞台外にはけるとか、自分の元の場所に戻って終わり、という流れ。 |
[…] フラメンコの1つの曲は7,8分、長いと10分を超える場合もあるのですが、その1曲に「構成」というのがあって、それらを組み合わせて1つの曲が成り立っています。(こちらのリンクは、以前、構成についてお伝えした記事になります) […]