【曲種紹介】ティエントスについて。

フラメンコには曲種が色々あります。

曲種はメロディーラインで決まります(カンテの先生に習いました!)
同じ「アレグリアス」という曲種でも、色々な「歌詞」はありますが、アレグリアスのメロディーはアレグリアスとのことで。

哀愁漂う曲
明るい曲
南米の文化を吸収した晴れやかな曲
粋な曲…などなど。

フラメンコが好きになった人の入り口は、フラメンコを聴いてなんだか惹かれて…という方も多いのではないでしょうか。

フラメンコの曲種について、私がお師匠さんたちから教えていただいたことを書いてみたいと思います!
今日はティエントス(Tientos)について。

ティエントスのこと

ティエントスはカディスのタンゴから。

19世紀末にカディスのタンゴから派生したと言われる、比較的ゆっくりな4拍子系・短調の曲です。

曲名の由来は、ラテン語のtemptare(誘惑する)という意味や、tiento(手探り)といった意味があるとされます。
どこか後ろ髪を引かれるような、哀愁漂うペソ(重さ)のある曲調です。

4拍子系でコンパスが取りやすい曲です。歌振りの部分はゆっくりなカンテに合わせてペソ(重さ)を意識して踊ります。

後半のタンゴは、タンゴ独特のうねり・コンパス感を出すことを心がけて軽快に踊るイメージ。

どの曲もそうですが、踊り手によって全くイメージが変わりますので、色々なティエントスを観て・聞いて、自分なりの表現を目指すといいかなと思います。

パストーラ・ガルバンのティエントス!

私がフラメンコを初めてどっぷりはまってしまった当初に購入したDVD!
それが La noche Flamenca (ラ・ノチェ・フラメンカ~フラメンコの夜~)です。

これ、本当に大好きで衝撃を受けましたね。
あれ、私の踊ってるのとなんか全然違うかも?って思いました。
これを観て一気に、パストーラガルバン、ホセガルバンの大ファンに。
今でも大好きなアルティスタです。
この前、ガルロチさんにいらっしゃってましたね~!!!
素晴らしい!!!

大好きなパストーラさんのティエントスが収録されているDVDです!

ティエントスの構成例

クアドロ・フラメンコについて

バイレ・フラメンコには「構成」というものがあります。

お料理をするとき、材料を切って、煮て、焼いて…みたいに手順があると思いますが、
そんな感じです。
順番です。
この順番はだいたい決まっていたりしますが、クアドロフラメンコでは、指揮者である踊り手が考えて全体をひっぱっていく形になります。

クアドロフラメンコはこのサークルの目指すところでもあり、
私がフラメンコの醍醐味だな!と思う部分でもあり、
そしてとても難しいものでもあるのですが、
概説すると、

ステージの上に、トケ(ギター)、カンテ(歌)、バイレ(踊り)、パルマ(手拍子)等のアーティスト全員が上がり、
1つの「絵」(クアドロ)を描き上げるようにフラメンコを創っていくスタイル

という感じかと思います。

素晴らしい先生でいらっしゃるベニート・ガルシア先生がyoutubeで解説してくださっています!

このクアドロフラメンコに必要なのが構成です。

ティエントスの構成例

ティエントスの構成の一例を挙げてみます!
自由に組み合わせたりすることで、曲の雰囲気が変わるのもフラメンコの楽しいところですね。

1 Salida(サリーダ) 出だしのこと。Salirの名詞。
2 1 Letra(プリメラレトラ) 1つめの歌振り(歌に合わせた振付のこと)
3 Falseta(ファルセータ) ギターがメインとなる部分。歌はない。
4 Escobilla(エスコビージャ) サパテアード(足のステップ)がメインとなる部分
5 2 Letra(セグンダレトラ) 2つめの歌振り
6 Escobilla(エスコビージャ) 2つめのエスコビージャ
7 Tango(タンゴ) タンゴ。タンゴも2つの歌振りを入れる場合や、間にファルセータやエスコビージャを入れることもよくある。
去り歌(salidaとも言う) 全てが終わり、自分の元居た椅子に戻るか、舞台からはける。

ティエントスのレトラ(歌詞)

フラメンコには歌詞があります。
スペイン語を勉強していないとわからないのですが、フラメンコのレトラがわかると、クアドロをしていてもより理解が深まり楽しくなるかと思います。

例えば歌振りのレトラとして、このようなものがあります。
番号はわかりやすくするために、
4拍子×2を1コンパスとした場合として振っているだけなので、
深い意味はありません!

a mi madre abandoné

a mi madre abandoné

(Rematar)

por tu querer solamente

a mi madre abandoné

y ahora me veo solita

sin madre sin tu  querer

y ahora me veo solita

sin madre sin tu  querer

私は母を捨てた

私は母を捨てた

 

それはあなたの愛ゆえに

私は母を捨てた

今、私は孤独に見える

母もあなたの愛もなく

今、私は孤独に見える

母もあなたの愛もなく

フラメンコにはいろいろなレトラがありますので、調べてみると良いと思います。

エンサージョ(ギター・歌とのセッション)の様子

ということで、以前、サークルで練習会をした様子をすこーし載せてみます。
これは「タンゴ・デ・トリアーナ」、トリアーナ地区のタンゴという意味です。

ティエントスの本編の後にセットで踊られることが多いです。
もちろん、単体で踊られることもあります。