要するに
フラメンコには「構成」というものがあって、それを意識して踊ったり、それを説明することが必要な場面もあるよ、というお話です。
今はyoutubeなどにもたくさんの動画があったり、webにもたくさんの情報がありますので、色々参考にしてみてください。
いつも練習会でも申し上げておりますが、あくまでこれは私が今までフラメンコに関わってきて学んだことであり、これが絶対ということではないです!
構成とは何か
フラメンコの構成
フラメンコの「構成」とは、1つの曲がどういうパーツで・どういう順番で成り立っているか、ということです。
肉じゃがを作るときは、じゃがいもとお肉とにんじんとタマネギと・・・といった具合に「パーツ」があって、まずは材料を切って、お肉を炒めて、じゃがいも入れて・・・みたいに調理する順番があります。
この、パーツと順番があるよ、ということです。
そしてそのパーツと順番は、だいたいの定石はあるものの、自由にできます。なので、同じフラメンコの曲でも、アーティストによって全然違うモノになるというわけです。
それぞれのパーツはこういうものです
構成するパーツはこういうものがあります。
例えばフラメンコのとってもポピュラーな「アレグリアス(Alegrias)」を取り上げてみるとこんな感じです。
実物を見るとわかりやすいのですが、文字にするとなんだか説明が難しいです。。。
1 | サリーダ (Salida) |
Salir(出る)の名詞で、「出発」とか「出ること」という意味です。曲の始まり、出だしの部分。 |
(2) | ジャマーダ (llamada) |
Llamar(呼ぶ)の名詞で「呼ぶこと」という意味で、「歌を呼ぶ」ということ。構成をお伝えするときは、わざわざジャマーダしますとは言いません。ジャマーダしないと、歌が来ないので。 |
3 | プリメラ・レトラ (Primera letra) |
1つめ(primera)の歌(letra)です。歌に合わせて踊る部分で、「歌振り」と言ったりします。 |
4 | ファルセータ (Falseta) |
ギターの独奏部分です。歌い手さんは歌いません。ファルセータの長さや雰囲気は、ギターさんによって全く異なります。 |
(5) | ジャマーダ(llamada) | (2)と同じ |
6 | セグンダ・レトラ (Segunda letra) |
2つめ(segunda)の歌(letra)です。歌は1つの場合もあります(踊り手の自由に変えられます)。 |
7 | エスコビージャ (Escobilla) |
足の部分です。「ほうき」の意味なんですよね。なんで足のところをエスコビージャって言うのか、パコさんに聞いてみよう。ここで一旦、シエレ(cierre)=締めます。 |
8 | シレンシオ (silencio) |
「静寂」という意味です。アレグリアスは基本的に明るい曲調なのですが、この部分はマイナー調でリズムも少しゆっくりになります。足をガタガタしたり、歌もないので、静かな部分です。 |
9 | カステジャーノ (castellano) |
スペインのCastilla(カスティージャ)の、という意味です。カスティージャ地方のことなんだろうけど、なぜこの部分をそういう風に呼ぶか私は知りません。 |
10 | エスコビージャ (Escobilla) |
メインとなるエスコビージャです。ゆっくり短いのを一旦シエレして、仕切り直して長くて早いのをしたり、バリエーションは様々です。 正規のコンパスは「1」から始まります。エスコビージャやジャマーダもだから「1」からです。でも、後半の「ブレリア」は12から始めるため、途中で「カンビオ(cambio)」(「変える」という意味)が必要になります。 |
11 | スビーダ (subida) |
Subir(登る、上がる)の名詞で「上昇」とか「昇ること」という意味です。コントラティエンポ(裏打ち)の足で、スピードとか靴音の音量を上げて盛り上げていく部分です。スピードが上がるからなのか、たまーに間違って「スピーダ」って言っている人がいるのですが、もとの動詞を考えるとsubirだから「スビーダ」です。 |
(12) | ジャマーダ(llamada) | 最後の「ブレリア」の歌を呼ぶためにジャマーダ(合図)をします。 |
13 | ブレリア・デ・カイ (Buleria de Cadiz) |
「カディスのブレリア」という意味です。アレグリアスは、本体部分のレトラの後に、カディスのブレリアをもってきて終わることが多いです。ブレリアは歌が1つのときもあれば、2つ、3つと踊るときもあります。 |
あぁ、1つ説明するだけでもこんなに長いですね。これを全部踊ると、レトラやブレリアの数、エスコビージャやファルセータの長さ、カステジャーノやシレンシオを入れるか・入れないか、などにもよりますが、概ね10分位の長さになると思われます。
フラメンコは大変だ。続きはまた次回、書いてみたいと思います。